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読書記録「れもん、うむもん! ーそして、ママになるー」

新潮社のサイト「ROLA」で連載後、単行本になったはるな檸檬さんのコミックエッセイです。
妊娠編・出産編・育児編の3編に分かれていて、「嬉しい・楽しい・幸せ!」だけじゃ済まない、不安や戸惑いなどの心の動きが正直に描かれています。
出産関連のコミックエッセイってすごいたくさんあって、その手の本はそれほどたくさん読んだことがあるわけじゃないんだけど、私にとってはもうこの一冊だけでいい!と言い切れるくらい、大事な一冊になりました。

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出産を経て一番強く思ったことって、帯にも描かれているんだけど、
「 お も て た ん と ち が う 」
こんなに思い通りにならないの!? こんなに痛いの!? こんなに眠いの!?
…なんでこんなにしんどいの?
子供はすごくかわいい、信じられないほどかわいい、今まで知らなかったこんなレベルの強い感情があるなんて。だけど同時にすごく大変。
すっっっっごく幸せとすっっっっごく大変が両立する。大きすぎる感情の振れ幅に疲れてしまうほどに。

でもそれを口にすると「みんなやってるんだから」「自分よりこどもの方が大事でしょ」「幸せなことなのに愚痴ばかり」「贅沢」「自分で選んだくせに」って言われてしまいそうだし、大変だ大変だと感じてしまうことに罪悪感もあった。
だけど、「今、私が、すごくつらい」っていうことと「みんな耐えてきた」っていうことは関係が無い。
…っていうことをはっきり描いてくれていて、月齢6ヶ月未満の頃に読んでぼろぼろ泣けてしまった。
もう1ページずつ漫画をアップして解説したいくらいだよ…(うざい)そっと背中をなでてもらえるようで、何度も読み返してます。
今、すごくしんどい渦中にいる人の中には救われる人もいるんじゃないかな。

1話から4話まで試し読みはこちらからできます。
https://rola.tokyo/?cat=104

妊娠から育児まで、その間に起こることは本当に人それぞれで、同じ女性同士でも気持ちを分かりあえないこともあると思う。なにそんな大変ぶってんのって思う人も居るかもしれないし、いくら旦那さんとはいえ男の人はわからなくて当然じゃないかな…。だけどみんな自分の気持ちを分かって欲しくて、寄り添って欲しくて、だからこそこの世には大量の出産育児エッセイがあるんじゃなかろうか。

暗中模索で五里霧中、だけど時間が解決してくれるってこと。
娘が1歳を迎えた今ならわかります。
つらいと感じてたことも、日々の忙しさに飲まれて既に忘れつつあります。
これからもきっと、今までとは別の大変だしんどいってことがあるんだろうしね。
それでも、出産前のあの頃に戻りたいとは全く思わないんだ。それが答えだと思う。

れもん、うむもん! ――そして、ママになる――
はるな檸檬
新潮社
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