【本】「恋愛王」鴻上尚史

恋愛王 (角川文庫)
恋愛王 (角川文庫)

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鴻上 尚史
角川書店
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たまの更新がこれでいいんだろうかという思いもありつつ。
最近読んだ本、ではなくて、何度も繰り返し読んでいるバイブルのような本のことをメモしておこうと思います。

高校生の時演劇部に所属していて、第三舞台のファンであった(心酔していたと言ってもいい)私にとって鴻上さんの言葉はいちいち衝撃的で、脚本を何度も読んでセリフを覚えたりしました。
この「恋愛王」は、雑誌「JJ」に連載されたもので、映画や本のセリフ・あるいは読者から送られてきたラブレターなどから言葉を抜粋して語られる、異性・同性・親子などさまざまな「愛」についての恋愛論です。
当時、親友が貸してくれたのち、自分でも持っていたくて買いました。

今思えば、高校時代なんて恋愛のことなどちゃんと考えたことあるわけないじゃないですか。あのひとがすきーきらーい、くらいのもんですよ。しかも、この本の中ではいわゆる「寝る」ことについてもたくさん出てくるので当時の私には理解がおよぶはずもなく。
でも、分からない世界だったからこそ、響いたのかもしれません。

 たぶん、男と女は、期待するほど同じではなく、あきらめるほど違いはない、と僕は思っています。
 それより、目の前の人間を理解することの困難さは、相手が同性であろうと、異性であろうと、同じなのです。
(中略)
 でも、人間は、完全には分かり合えないっていう前提があれば、少しでも心が通じると、うれしくてうれしくて、幸福な気持ちになる。分かり合えないと思っている相手と少しでも心が通じるといとおしくなる。でも、分かり合えることが当然だと思っていると、少しでもズレると、怒りがこみ上げてくる(後略)
(文庫版まえがきより)

鴻上さんは他のところでも「以心伝心は存在しない」という旨のことを書いていたはず。なにか公演の「ごあいさつ」だったかな。
人と人とは完全には分かり合えないものである、というところが出発点だというのは私にとって新しい視点でした。

登場する36個の言葉のうち、私が好きなものを挙げるとすれば、

「恥も忘れる。人の目も無視する。」
読者のもらったラブレターより

「幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ」
吉本ばなな「満月―キッチン2」より

「あなたをとおして夢を実現しようという願いもあった」
山本暎一「虫プロ興亡記―安仁明太の青春」より

このあたりですかね。特に最後のやつとか超しみる。

1990年に発売された本ですが古くささはないです。
また、どうしたら恋人ができるか、どうしたら愛されるか、愛とは何なのか、そういった疑問に答える本ではありません。

さまざまな愛のかたちを挙げて、さあ、これを読んだあなたはどうしますか? 

学生時代と結婚した今とでは感じ方は変わってもずっと、愛と人間関係と生きていくことについて考えさせてくれる、大事な一冊です。


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